天狗が守る神奈川の名刹「大雄山最乗寺」は家康ゆかりの寺
2025.10.01
鼻が高くて山伏姿。
大きなうちわを持ち、天を飛ぶことができるらしい。
みなさんは「天狗(てんぐ)」に、どのようなイメージをお持ちでしょうか。
畏怖の念を抱かれがちな「天狗」ですが、人々を守る守護として存在するお寺もあります。
徳川家康の次男であり、のちに豊臣秀吉の養子となった結城秀康。
その子である松平直基の墓所がある大雄山最乗寺には、摩訶不思議な天狗伝説があります。
この記事では、最強のパワースポットともいわれる天狗伝説の大雄山最乗寺をご紹介します。
大雄山最乗寺建立の由来
大雄山最乗寺は、曹洞宗に属しており、全国に4000余りの門流をもつ格式高いお寺です。
御本尊は 釈迦牟尼仏で、脇侍仏として文殊、普賢の両菩薩が奉安される修行専門道場でもあります。
最乗寺の公式ホームページでは、最乗寺建立について、以下のように記してあります。
「開山了庵慧明禅師は、相模国大住郡糟谷の庄(現在伊勢原市)に生まれ、藤原姓である。
長じて地頭の職に在ったが、戦国乱世の虚しさを感じ、鎌倉 不聞禅師に就いて出家、能登總持寺の峨山禅師に参じ更に丹波(兵庫県三田市)永沢寺通幻禅師の大法を相続した。
その後永沢寺、 近江總寧寺、越前龍泉寺、能登妙高庵寺、通幻禅師の後席すべてをうけて住持し、大本山總持寺に輪住する。
50才半ばにして相模国に帰り、曽我の里に 竺圡庵を結んだ。そのある日、1羽の大鷲が禅師の袈裟をつかんで足柄の山中に飛び大松(袈裟掛けの松)の枝に掛ける奇瑞を現じた。その啓示によってこの山中に大寺を建立、大雄山最乗寺と号した。應永元年(1394年)3月10日のことである。」
ポイントをかいつまんでいうと、多くの修業を積んだ了庵慧明禅師は、50才半ばに相模国に帰り曽我の里に 竺圡庵を結ぶと、大鷲の啓示があったため、1394年3月に大雄山に大寺を建立し最乗寺とした、という感じです。
大雄山最乗寺の建立を助けた道了大薩埵
大雄山最乗寺を建立するにあたっては、摩訶不思議な言い伝えがあります。
了庵慧明禅師を慕う、道了大薩埵(どうりょうだいさった)という人物がいました。
道了大薩埵は、了庵慧明禅師が大雄山を開創し寺を建立すると知ると、遠く離れた滋賀県の三井寺園城寺から、天を飛んで了庵禅師を助けに来て、土木の業に従事しました。
道了大薩埵の力量はとてもすごくて、1人で500人にもおよび、たった1年間で建立できたそうです。
そのすごい力が「神通力」と言われている力です。
この道了大薩埵(どうりょうだいさった)こそが、大雄山最乗寺を守護しています。
山中にかくれ道了尊となる
1411年、了庵禅師が75才にしてご遷化すると、道了大薩埵は「以後山中にあって大雄山を護り多くの人々を利済する」と五大誓願文を唱えて姿を変えて、火焔を背負い右手に拄杖左手に綱を持ち白狐の背に立って、天地鳴動して山中に身をかくしました。
わかりやすく言うと、私はもう役目を終えたので、これからは山に入り人々の幸せを願うとして、道了尊(天狗)となり姿を消したということです。
その道了尊をお祀りしているいるところが御真殿です。
とてもパワーを感じるので、ぜひゆっくりと滞在してみてください。
最強のパワースポット道了尊
道了尊が祀られている御真殿に行くには、結界門をくぐらなくては行けません。
ここから先は聖域になります。
結界門の前には左右に天狗像があります。
左の小天狗
右の大天狗です。
また、門と天狗像の前に階段があり、そこに行くまでに、3つの石の橋があります。
長さ9メートルの橋は、左右の橋が圓通橋、真ん中の橋は御供橋(ごくうばし)といい、御供橋は白装束を身にまとった修行僧が道了尊へのお供えをする時に使用する為の橋で、普段は通行する事ができないようになっています。
結界門をくぐると階段があり、77段を登りきると御真殿です。
道了尊が祀られている一番のパワースポットです。
道了尊の周りには、たくさんの下駄が奉納されています。
下駄は2つで下駄の役目となるため、夫婦和合としての御利益があるといわれています。
下駄のほかに団扇もありますね。
大雄山最乗寺は、大変広大なお寺ですので、すべてを周るのは大変ですが、御真殿には足を運んでいただきたいです。
道了尊に行くまでの道のりで、家康の孫にあたる「松平大和守直基の墓所」にもお参りすることができます。
【大雄山最乗寺へのアクセス】
神奈川県南足柄市大雄町1157
電話 0465-74-3121(代)
JR小田原駅下車大雄山線大雄山駅下車
大雄山駅からバス道了尊下車
【拝観料】
無料
【受付時間】
総受付6:00〜16:00
お守り売り場9:00〜16:00
※行事などにより前後する場合あり

rico
教育系ライターricoです。 公立小学校の教員をしていました。戦国時代の強い姫たちが好きです。特に江のファン。読んでくださる方の心にイメージが広がるような文章を紡いでいきたいと思っています。

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