名古屋城石垣の刻印を見に行こう! Vol.13 本丸西壁北側
2025.09.30
2025.10.15
一、なんらかのマークが付けられた石を「刻印」や「刻紋」、
もしくは人物の名が入っているものを「刻銘」と呼びますが、
この連載では主に「刻印」という呼び方で統一します。
一、名古屋城には膨大な数の刻印があり、
確認されているだけで2000以上もあるのだとか。
劣化により判別不明なものも多いため、本連載では
目視ではっきりわかるものを中心にご紹介してゆきます。
(名古屋城の刻印についての詳しい概要はこちらの記事もご覧ください)
一、タブレットにて刻印を白や赤の線でなぞった加工画像もありますが、
フリーハンドゆえのゆがみや想像で線を補ったものもあるため、
あくまでイメージとしてお楽しみください。
同シリーズ記事はこちら▼
「名古屋城石垣刻印シリーズ」一覧はこちらから
今回から本格的に西壁を見てゆきましょう。
ちなみに、ここも前回見た北側と同じく細川忠興の担当箇所です。
まずは、左上にある①から。
晴れの日には陰となり見えづらいですが、
〇にはみ出した+というマークの「丸に出十字」があります。
①から下へ、中段の隅石付近のこのあたりへ。
②は6つもの刻印がひしめく箇所。
隅石に「鱗に三の字」らしきもの、上には「結び雁金」が。
下には「丸に上の字」が2つ、間には丸に何らかの印が刻まれた石、
その上には欠けた鱗が二つ並んだような刻印があります。
右下の「丸に上の字」以外は、濡れた方が見やすいかもしれません。
続いて、②の下にある③へ。
右にはおなじみとなってきた「丸に上の字」、
左には羽が長めの「結び雁金」と「卍」の刻印があります。
「結び雁金」も「卍」も珍しい刻印ではありませんが、
一緒の組み合わせはなかなか貴重。
③の下にある④がこちら。
上に「丸に上の字」、下には欠けた「三串団子」があります。
ちなみにこの「三串団子」、晴れでも陰になった状態だとこんな感じで
雨に濡れた状態じゃないと見えない、と言っても過言ではないでしょう。
さらに下へ目線を移し、空堀の底に近いあたりを見てゆきましょう。
⑤には「三串団子」と「丸に上の字」が。
この「三串団子」も残念ながら一部欠けております。
⑤の下にある⑥には、右上に「違い輪」の重なる部分に一本線をひいたもの、
一段下に左から「丸に上の字」が横並び。
一番右も恐らく「丸に上の字」ではないかと思います。
⑦にも「三串団子」らしき刻印。
〇が小さく間隔も長めのように見受けられるものですが、
これも少し欠けており完全体ではありません。
続いてはこちら、今回ご紹介する箇所の真ん中あたり。
⑧は、本丸西壁左側の中でも個人的に好きな箇所。
下には「丸に上の字」、逆さの「小の字」、横並びの鱗(△△)があり、
上には団子が一つしかない「三串団子」と、ほぼ完全な「三串団子」が。
この「三串団子」は〇の中まで削られているのがはっきりわかり、
串の先端が曲げられているというのもおしゃれですね。
曲がった串の上にも何か刻まれておりますが、詳細はわかりません。
少し離れた左下の⑨へ。
一番上には判別しづらい刻印が2つある石、
左下に丸とその中に何らかの刻印がある石、その隣には二つの鱗、
さらに下には鱗内に七のようなものが刻まれた石があります。
⑩には、〇に十の「くつわ」、その下に十の字らしきもの、
右側に「鱗にさの字」と思われる刻印が。
この辺りは、石の色や積み方から見てもわかるように積み直しが多く、
他家の担当箇所で見られるような刻印がちらほら。
再び中段へ目線を移し、白い石の上側にあるこのあたりへ。
⑪にあるのは、左上の「雁金」と右下の「丸に上の字」。
何度も見てみましたが、「雁金」の上あたりに刻印はなさそうです。
⑫は刻印の密集エリア。
左上に「角に星」に斜め線を加えたもの、その隣と右下に「丸に上の字」、
右上と左下に一部が欠けた「三串団子」があり、
右下に「丸に中の字」と思われる刻印が並んでおります。
⑬には「十の字」らしき刻印がある石が。
くっきりと刻まれていますが、小さいので最近まで見逃しておりました。
最後は一番下にあるこの⑭へ。
ここにあるのは、下から「三」「四」「五」という漢数字が刻まれた石。
現在地中に埋もれている石から数えて、三段目~五段目とわかるように
数字を刻んだものだと考えられております。
「三」「四」は草がない時期には比較的見つけやすいのですが、
「五」は陽射しを味方につけないとわかりにくいかもしれません。
来月の11月1日から30日まで、
名古屋城で「無料化実証実験」が行われます。
この間は通常有料エリアである二之丸・西之丸・御深井丸が
無料で見学できるようで、本丸のみ有料になるのだとか。
訪れる人がどれくらい多くなるのか、興味深い試みですね。
無料化実証実験時、有料エリアの入口となる本丸表二之門
名古屋城
場所:愛知県名古屋市中区本丸1−1
電車でのアクセス:地下鉄名城線「名古屋城駅」下車後徒歩約5分
車等でのアクセス:名古屋高速都心環状線「丸の内IC」から北方向へ約5分
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新井 良典
愛知県出身、三重県在住の社会保険労務士。一番好きな武将は大谷吉継公。現代にも活かせる人財づくりを戦国武将から学ぶ「いい武将研究会」を主催し、城や戦国武将に関する執筆や講演活動も行っている。
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