武将愛 SAMURAI HEART

名古屋城石垣の刻印を見に行こう! Vol.16 本丸西壁 其の三

2025.11.17

名古屋城石垣の刻印を見に行こう!シリーズについて

一、なんらかのマークが付けられた石を「刻印」や「刻紋」、
 もしくは人物の名が入っているものを「刻銘」と呼びますが、
 この連載では主に「刻印」という呼び方で統一します。

一、名古屋城には膨大な数の刻印があり、
 確認されているだけで2000以上もあるのだとか。
 劣化により判別不明なものも多いため、本連載では
 目視ではっきりわかるものを中心にご紹介してゆきます。

(名古屋城の刻印についての詳しい概要はこちらの記事もご覧ください)

一、タブレットにて刻印を白や赤の線でなぞった加工画像もありますが、
 フリーハンドゆえのゆがみや想像で線を補ったものもあるため、
 あくまでイメージとしてお楽しみください。

同シリーズ記事はこちら▼
「名古屋城石垣刻印シリーズ」一覧はこちらから

 

名古屋城石垣の刻印を見に行こう! Vol.16 本丸西壁 其の三

本丸西壁の三回目、今回は真ん中あたりを見てゆきましょう。
中段にある排水溝から配管の少し右側までの範囲となりますが、
ご覧の通りかなり刻印のある石が密集しております。

本丸西壁中側の刻印①②③

数を絞り、まずは左上から。

最上段の天端に近い①はこんな感じ。
この辺りは「工」や「丁」のような刻印が組み合わさったり
それぞれ単独であったりしたものが多くあります。
右上には「違い山形」と呼ばれる刻印があり、
このあたりが普請担当者の境目だったのでしょう。

少し下の②。こちらも「工」や「丁」を主として「〇」や「-」を
組み合わせたものが多くありますね。
「違い山形」も「+」や「-」と組み合わせてあるものが出てきました。

②の隣にある③は、前回数多くあった鳥の爪のような刻印と
「工」や「丁」のような刻印の境目あたり。

真ん中下あたりに鳥の爪のような刻印と「結び雁金」のような刻印がありますが、
「結び雁金」に足が生えた人型のように見えなくもない…

本丸西壁中側の刻印④⑤⑥

続いて中段、排水溝のあたりへ。

排水溝の右側にある④には2つの刻印。
鳥の爪のような刻印との右下には「丁」と「梯子」を組み合わせた刻印が。

右下の⑤は「井桁」が多いエリア。
「工」や「丁」、「違い山形」がある他、
右下には▽と△を合わせたような「立鼓」もあります。

⑤の左下にある⑥がこちら。
左と下に鳥の爪のような刻印と「-」のような刻印が。
さらに、上の⑤には「工」と「井桁」の組み合わせがありましたが、
⑥には「工」と「立鼓」+「-」らしき刻印もあります。
どのような法則性があるのか、今のところわかりません…

本丸西壁中側の刻印⑦⑧⑨

続いては、少し前のめりになり下段をチェック。

⑦は鳥の爪のような刻印があるエリアですが、
左上の石は「丁」らしきものと、右の石は□内に「丁」らしきものとの組み合わせ。

こちらは雨バージョンの鳥の爪のような刻印+「丁」らしき刻印。
「丁」がはたして刻印なのか、悩ましいところです。

右の⑧にあるのは、小さい石にも刻まれた5つの「工」らしき刻印と、
鳥の爪のような刻印+□内に「丁」のような刻印。

大きな矢穴痕と合体したような刻印がある、味わい深い石ですね。

⑧のさらに右にある⑨は、「違い山形」が盛りだくさん。
「違い山形」にも山同士の重なりが近かったり遠かったり
上に「・・・」があったり「〇」があったりと様々なバリエーションがあります。

本丸西壁中側の刻印⑩⑪

ここから右上、白い配管の右側へ。

一番上の⑩は「違い山形」と「角に七の字」が鎬を削る構図。
左側の「違い山形」は「・・・」や「-」などを足したものがありますが、
右側の「角に七の字」はこれ一本なのも面白いところです。

⑩の下にある⑪も、「違い山形」と「角に七の字」の境目。
勝手に質実剛健なイメージを持っていた「角に七の字」の刻印ですが、
こちらには「七と一」のようなものや真ん中上のよくわからないパターンのものも。

本丸西壁中側の刻印⑫⑬

目線を下げ、中段の中央と右側下にかけてのこの範囲へ。

中央やや上の⑫は、「違い山形」の密集地。
⑨と同様、さまざまなバリエーションの「違い山形」が堪能できます。

右端の⑬にも、「違い山形」と「角に七の字」の刻印が。
白い配管が良い目印になるので、このあたりは比較的見つけやすいと思います。

本丸西壁中側の刻印⑭⑮

最後は下段のこのあたり。

⑭には、もはや見慣れてきた「違い山形」と「角に七の字」。
ここの注目は左上の小さな石に刻まれた「違い山形」+「・・・」と、
右中央にある「角に七の字」に足されて何か刻まれた石。


七の字に足された曲線、これには一体どのような意味があるのでしょうか…

さらに下、配管を挟んだ位置にある⑮にはこの石。
△の形である「一つ鱗」、二つの〇が重なった「違い輪」、
左上にもう一つ何やら刻まれております。
恐らくこれは「違い山形」、もしかするとその上の〇も刻印かもしれません。

 


 

今回ご紹介した範囲は刻印のある石が密集しておりましたが、
どれくらいあるか数えてみたら327もありました。
11月現在は草で隠れた箇所も多いため確認はできませんが、
刻印に慣れた今ならもっと多くの刻印が見つけられそうな気がします
これから先、刻印の数がどれくらいになるのか怖くもあり楽しみでもあり…


草が生い茂った排水溝あたりの写真

今回の史跡「名古屋城」

名古屋城
場所:愛知県名古屋市中区本丸1−1

電車でのアクセス:地下鉄名城線「名古屋城駅」下車後徒歩約5分
車等でのアクセス:名古屋高速都心環状線「丸の内IC」から北方向へ約5分

地域カテゴリ

新井 良典

愛知県出身、三重県在住の社会保険労務士。一番好きな武将は大谷吉継公。現代にも活かせる人財づくりを戦国武将から学ぶ「いい武将研究会」を主催し、城や戦国武将に関する執筆や講演活動も行っている。

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