愛知の城を巡る 山中城
2024.04.20
2023.08.12
この連載は、2023年の大河ドラマ『どうする家康』で舞台となった地を
後追い、あるいは先読みしながらご紹介していくものである。
なお、タイトルにちなんで、記載は年齢問わず「家康」で統一する。
今回の史跡は、織田信長が美濃攻めをにらみ築いた「小牧山城」です。
1563年、清洲城から拠点を移すため織田信長が丹羽長秀に命じ築城開始。
『信長公記』によれば、織田信長はまず小牧山より北の二ノ宮へ築城すると宣言し、
その後少し時間をおいて小牧山へ築城すると発表したといわれております。
どうやら、清洲から移動することに不満を抱いていた家臣たちがいたようですが、
まず遠い地を提案し、その後清洲に少し近い小牧山を提案するという手法で不満を解消。
現代でいう「ドアインザフェイス」という交渉術を用いて小牧山城への移転を成功させたとか。
その後、織田信長が美濃攻めを成功させ岐阜城に移ると小牧山城は廃城に。
しかし、1584年に羽柴秀吉と織田信雄・徳川家康による戦いが起こると、
徳川家康が改修し入城、小牧山城は再び歴史舞台に登場することとなります。
1967年に山上の天守が建設され、2019年には「れきしるこまき」が開館。
2022年には主郭の石垣が復元されるなど、近年整備が盛んに行われております。
・小牧市役所の駐車場から、まずは麓の「復元土塁」を見学
・小牧山の南西側にある「大手口」からまっすぐ登ってゆきます
・山上への道から少し外れ、先に西側の「虎口」をチェック
見事な空堀や土塁が見られますのでお見逃しなきよう
・主郭虎口とされているあたりを通過すると、目の前には「天守」である小牧山歴史館が
・復元された主郭まわりの「石垣」、こちらの写真は北側からのもの
・こちらは西側、「石垣」だけでなく玉石敷遺構なども見られます
・主郭の南側と東側には、崩れて落ちたと思われる「転落石」がちらほら
・主郭の石垣を堪能した後、いよいよ「天守」の中へ
羽柴秀吉との対決を見据え、徳川家康が小牧山城に入ったのは1584年の3月中旬頃。
織田・徳川軍につくはずだった池田恒興が羽柴軍に寝返り、犬山城を占拠した後です。
徳川家康が小牧山城に布陣した後、すぐさま羽柴方の森長可が羽黒のあたりまで迫りますが、
酒井忠次・松平家忠らがこれを察知し奇襲、撃退に成功しまずは先手を取ることに成功。
徳川家康は羽柴軍の襲撃に備え、小牧山やその周辺に砦や土塁などを築いてゆきます。
対する羽柴秀吉は、徳川家康の動向を見がてら3万もの兵を率いて出陣。
3月末頃に犬山の楽田城に到着し、5kmくらいの距離で両雄が対峙します。
しかし、両陣営ともに砦などを築き、守りを固めたことから戦況は膠着状態に。
その後もお互い手出しできないまま様子見、という状況が続きましたが、
月が替わると羽柴方の池田恒興が徳川家康の領地である三河襲撃を献策します。
一度はこの案を退けた羽柴秀吉でしたが、最終的に池田恒興・森長可らに三河襲撃を命令。
これにより戦況は大きく動き、舞台は長久手の方へ移ることになります。
・こちらが「天守」最上階内部、床には小牧山を中心とした地図もあります
・天守から北方面を眺め、小牧・長久手の戦い関連の「犬山城」を望遠で狙う
・北側には、羽柴方が築いた城や砦の跡がたくさんあるので、
案内板と見比べながら望遠できる機器等で確認するのがおススメです
・山を降り、麓にある「れきしるこまき」を見学しがてら少し休憩
・織田信長の居館跡ではないかと言われている、東南側の広大な「曲輪」
・東側には、徳川家康が入城後に出入り口として作った「虎口」もあります
1枚目が御幸橋口、2枚目が山北橋口付近の写真
・北側駐車場の出入り口付近にある「土塁断面展示」も要チェック
・最後はオマケで、北側の岩崎山砦から見た「小牧山」方面
羽柴秀吉による織田家中掌握の様子が描かれた前回。
清洲会議→賤ヶ岳の戦いとサクサク進みましたが、
その後の展開をにおわせる茶々の言動など見どころ満載でしたね。
今回からいよいよ徳川家康vs羽柴秀吉の戦いが開幕。
高松城水攻めや中国大返しなどのわかりやすい描写がなくても
恐ろしいさまが表現されている『どうする家康』の羽柴秀吉に対し、
はたして徳川家康はどのようにして対抗してゆくのでしょうか。
小牧・長久手の戦いにおける戦場での心理戦も楽しみですが、
戦い後の駆け引きはさらに気になるところです。
羽柴秀吉が布陣した「楽田城」
小牧山城
場所:愛知県小牧市堀の内1丁目
新井 良典
愛知県出身、三重県在住の社会保険労務士。一番好きな武将は大谷吉継公。現代にも活かせる人財づくりを戦国武将から学ぶ「いい武将研究会」を主催し、城や戦国武将に関する執筆や講演活動も行っている。
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