名古屋城石垣の刻印を見に行こう！ Vol.08 大天守 其の八（西壁編）
2025.06.15
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名古屋城石垣の刻印を見に行こう！ Vol.06 大天守 其の六（北壁編）
2025.04.30
名古屋城石垣の刻印を見に行こう！シリーズについて
一、なんらかのマークが付けられた石を「刻印」や「刻紋」、
もしくは人物の名が入っているものを「刻銘」と呼びますが、
この連載では主に「刻印」という呼び方で統一します。
一、名古屋城には膨大な数の刻印があり、
確認されているだけで2000以上もあるのだとか。
劣化により判別不明なものも多いため、本連載では
目視ではっきりわかるものを中心にご紹介してゆきます。
（名古屋城の刻印についての詳しい概要はこちらの記事もご覧ください）
一、タブレットにて刻印を白や赤の線でなぞった加工画像もありますが、
フリーハンドゆえのゆがみや想像で線を補ったものもあるため、
あくまでイメージとしてお楽しみください。
同シリーズ記事はこちら▼
「名古屋城石垣刻印シリーズ」一覧はこちらから
名古屋城石垣の刻印を見に行こう！ Vol.06 大天守 其の六（北壁編）
前回に引き続き、今回も大天守台の北壁。
石垣に沿って作られた銅製の雨樋付近を見てゆきましょう。
ちなみにこの銅製の雨樋、1752年（宝暦2年）に行われた
「宝暦の大修理」の際につけられたものを復元したそうです。
名古屋城天守に数ある見どころのひとつ、と言っても過言ではないので
石垣の刻印はもちろんこの雨樋も要チェック。
大天守北壁中側の刻印①②③
まずは刻印がある箇所を赤く塗って確認。
最上部あたりにある刻印から見てゆきましょう。
まずは、左側の銅製雨樋のさらに左にある①から。
左から、少し欠けた南条の「木槌」、逆さになっている「杉」、
右下には「いこま」の名と「違い角」が刻まれた石があります。
次は目線を右に、雨樋の間にある②へ。
上には「矢筈」、下の左側には不完全な「抜簾」+逆さになった「なりた」が。
こちらは「抜簾」＋「なりた」の画像を回転させたもの。
「な」はともかく、「りた」は結構わかりやすいですね。
続いて、さらに右にある③の範囲。
ちょっと判別しづらいものもありますが、
中央上に「矢筈」、右隣に「丸に丁」、一段下に「丸に九」っぽい刻印。
下段左から「中輪にくつわ」、「丸に一つ鱗」、「生駒車」と並んでおります。
大天守北壁中側の刻印④⑤⑥
最上段あたりから少し下の辺りはこんな感じ。
左の④には、一番左に「違い角」と「雁金」が刻まれた石、
隣には上部が少し欠けた成田のものと思われる「抜簾」、
右側下には「矢筈」と南条の「木槌」が並んでおります。
そして、中央あたりには横になった「小」とその上に謎の刻印。
逆さにすると、扇のような形の中に点がある「地紙」の横に
「めさしや」とも読める文字が刻まれておりますが、
どのように読むのかはわかっておりません。
雨樋を挟んで⑤の範囲へ。
ここには左から「矢筈」、２個下に新美の「鳥居」、
右上に「丸に十」、その下には欠けている「升」らしき刻印があります。
⑤のさらに右、⑥には３つの刻印が。
上に逆さになった「南条」+削られている「木槌」、
左下に「なりた」+欠けた「抜簾」、右下に「弦巻」。
こちらの「なりた」は②の下書きをした人物と異なるのか、
全体的に読みやすいように感じます。
ちなみに、この大天守北壁の上段あたりには
石の表面を削りおしゃれに仕上げた「はつり」も多く、
「あれは刻印かも！？」と惑わされるのでお覚悟を。
大天守北壁中側の刻印⑦と⑧
中段あたりに目を移し、⑦と⑧の範囲を見てゆきましょう。
⑦には左側に「結び雁金」、右上に欠けた「升」らしき刻印と南条の「木槌」、
その下と中央下に新美の「鳥居」があり、左下に「角に四つ星」があります。
⑦の右にある⑧は、刻印の密集地帯。
左上と中央下に小代下総守の「小代」、中央下右に「南条」+「木槌」、
右上から「丸に丁」、「丸に六星」、「雁金」が並んでおり、
さらには新美の「鳥居」が２つあります。
大天守北壁中側の刻印⑨と⑩
さらに下、石垣の状態が気になるこのあたり。
正面から見るとあまりわかりませんが、横から見るとこんな感じ。
雨樋が隠れるくらい石垣がはらみだしているのが一目瞭然！
⑨にあるのは、左上から「丸に六星」、「蕨」、
雨樋に隠れて「生駒車」、「丸に十」と並び、
一段下にははっきりしない丸に謎の刻印（「丸に六星」？）。
右下にはわかりやすい「団扇」の刻印が。
⑩には上から欠けた「丸に六星」、右隣に「蕨」、一つ下に「丸に一つ鱗」。
左下に「丸に一」、二つ隣には「S」のようの謎の刻印があります。
大天守北壁中側の刻印⑪⑫⑬
最後は、のぞき込んで見る一番下辺り。
⑪には丸に謎の刻印と、欠けた「抜簾」。
下側は破損している石も多く、さらに刻印がわかりづらくなってゆきます。
現在見られる最下段である⑫の範囲へ。
左側が「丸に六星」、隣に「矢筈」。
⑬には一つ、右上が少し欠けた「変わり立鼓」が。
⑫と⑬は、雨に濡れた状態でないとよくわからないかもしれません。
徐々に草で見えなくなってくる刻印が出てきました。
２頭のシカがいる西南隅櫓下の木も育ちはじめていたので、
刻印だけでなくシカもはっきりと見たい方は
５月中くらいの見学をおススメします。
西南隅櫓下の空堀と２頭のシカ
同シリーズ記事はこちら
「名古屋城石垣刻印シリーズ」一覧はこちらから
今回の史跡「名古屋城」
名古屋城
場所：愛知県名古屋市中区本丸１−１
電車でのアクセス：地下鉄名城線「名古屋城駅」下車後徒歩約5分
車等でのアクセス：名古屋高速都心環状線「丸の内IC」から北方向へ約5分
新井 良典
愛知県出身、三重県在住の社会保険労務士。一番好きな武将は大谷吉継公。現代にも活かせる人財づくりを戦国武将から学ぶ「いい武将研究会」を主催し、城や戦国武将に関する執筆や講演活動も行っている。
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