武将愛 SAMURAI HEART

どこにいた家康 Vol.32 岩崎城

2023.08.19

この連載は、2023年の大河ドラマ『どうする家康』で舞台となった地を
後追い、あるいは先読みしながらご紹介していくものである。
なお、タイトルにちなんで、記載は年齢問わず「家康」で統一する。

長久手の戦いの前哨戦となった「岩崎城」

今回の史跡は、岩崎城の戦いの舞台となった「岩崎城」です。
1987年に模擬天守(展望塔)が建築され、「岩崎城址公園」として整備。
模擬天守だけでなく、櫓跡や二の丸と本丸間の空堀などが見どころといえるでしょう。

詳しい築城年はわかっておりませんが、織田信秀による築城といわれており、
1529年には尾張地方を狙う徳川家康の祖父・松平清康が攻略。
松平清康が「守山崩れ」で亡くなった後は、丹羽氏清が入城し改修しました。
以後、岩崎城は四代にわたって丹羽氏の居城なります。

「小牧・長久手の戦い」では、城代として岩崎城を守っていた丹羽氏重が
三河への奇襲を狙う羽柴方に攻撃を仕掛けた後、岩崎城を攻められ落城。
しかし、ここでみせた丹羽氏重の奮闘が、後の戦況を大きく変えることとなりました。

豊臣秀吉・徳川家康本気の戦い「小牧長久手戦い」スペシャルページ

丹羽氏から見た小牧長久手の戦いを紐解く記事はこちら

徳川軍の勝利に貢献した丹羽氏重の菩提寺「妙仙寺」をご紹介した記事はこちら

 

「岩崎城」の見学ルート①

・北側の駐車場方面から攻城開始、まずは入口付近の「案内図」をチェック

・順路を進んでいくと、二の丸庭園への分岐路の先に「空堀」が見えてきます

・少し直進して「空堀」を堪能、1枚目が正面、2枚目が左手の「空堀」

・少し戻り、左手にある階段を登って「二の丸庭園」へ
名古屋城の三の丸庭園を参考にし、日進市の形にしてつくったようです

・二の丸庭園の東側には「水琴窟」もあるので、水を入れて音を楽しみましょう

・往時は二の丸と本丸を渡していた「土橋」があった場所
現在は拡張されしっかりとした橋となっております

・橋上から見る素晴らしい「空堀」、順に向かって右側と左側の眺め

 

「岩崎城」の戦いとその後

丹羽氏は織田信雄・徳川家康方に属し、小牧・長久手の戦いに参戦。
当時の丹羽家当主は四代目にあたる丹羽氏次でしたが、
自身は徳川家康の軍と合流していたため、弟の丹羽氏重が代わりに城を守っていました。

小牧でのにらみ合いに業を煮やした羽柴方は、「三河中入り」作戦を開始します。
三河へ急いで向かいたい羽柴方の池田軍・森軍に対し、丹羽氏重は城を出て攻撃。
存在を無視できなくなった羽柴方は、急遽岩崎城へ攻撃をしかけることとなります。
健闘むなしく岩崎城は落城しますが、攻め手の池田軍・森軍らは疲労し休憩をとることに。

この時、すでに徳川家康は軍を率いて小牧山城から移動し、背後からの攻撃を開始します。
まずは白林山で羽柴秀次軍を敗走させ、桧ヶ根で堀秀政軍に敗れるものの後退させた後、
長久手まで引き返してきた池田軍・森軍と戦い勝利。
後に、徳川家康は岩崎城とともに散った丹羽氏重の働きを「あの足止めが一番の戦功」と称し、
丹羽氏重の代わりに兄・丹羽氏次を加増したといわれております。

 

「岩崎城」の見学ルート②

・土橋跡から本丸へ進むと、右側に「歴史記念館」、左側に「模擬天守」が
暑さ対策で早朝に訪れたため、残念ながら中の見学はできず…

・土橋跡を渡ってすぐ左手にあるのが「井戸跡」、その奥には「隅櫓跡」も

・歴史記念館の方まで戻り、階段の上にある「櫓台」へ
ここには、丹羽氏重の忠義を称した「表忠義碑」があります

・櫓台の先へ進み左手の階段を降りると、右手にあるのが「岩崎城古墳」
説明板によれば、発掘調査の際に偶然発見されたものを復元したとのこと

・古墳の近くにある「丹羽勘助古城之跡碑」
ちなみに、「勘助」は四代目城主・丹羽氏次の通称です

・本丸南西側から撮影した「天守」、本丸と南側の高低差がよくわかりますね

・最後は、階段を降りた先にある駐車場からの一枚

 

次回どうなる、『どうする家康』

徳川家康と羽柴秀吉の戦い、「小牧・長久手の戦い」がいよいよ開幕。
お互いの駆け引き、特に初花肩衝を献上した石川数正と羽柴秀吉との
やりとりは見ごたえありましたね。

戦いの行方が気になるところですが、何をおいても「どうする数正」。
歴史講座でも一番質問が多かったこの後の石川数正の行動を
『どうする家康』でははたしてどのような描き方をするのでしょうか。。
あとは、今回ご紹介した岩崎城が出てくるのかにも注目したいと思います。

小牧長久手の戦いに関する記事一覧はこちら


徳川家康が座って軍議したといわれる「色金山」の床几石

今回の史跡「岩崎城」

岩崎城
場所:愛知県日進市岩崎町市場67

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新井 良典

愛知県出身、三重県在住の社会保険労務士。一番好きな武将は大谷吉継公。現代にも活かせる人財づくりを戦国武将から学ぶ「いい武将研究会」を主催し、城や戦国武将に関する執筆や講演活動も行っている。

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