続100名城を巡る「久留米城」
2024.10.14
2023.10.07
この連載は、2023年の大河ドラマ『どうする家康』で舞台となった地を
後追い、あるいは先読みしながらご紹介していくものである。
なお、タイトルにちなんで、記載は年齢問わず「家康」で統一する。
今回の史跡は、豊臣秀吉が「唐入り」を目指し築かせた「名護屋城」。
1590年、天下統一を果たした豊臣秀吉は、大陸にある明に目を向けます。
しかし、明征服のため服属・協力を求めるも、李氏朝鮮はこれを拒否。
1591年、豊臣秀吉は朝鮮半島へ攻め入ることを決め、那古野の地に築城します。
わずか5ヶ月で築城された名護屋城ですが、当時の大坂城に次ぐ規模を誇り、
全国から徳川家康などの諸大名が集結、130以上もの陣屋が建てられたとか。
豊臣秀吉亡き後、朝鮮半島からの撤退がなされると名護屋城は役目を終えることに。
1602年頃から行われた唐津城築城の際、一部の建築物が利用されたほか、
1615年の一国一城令の頃には、石垣なども破却されたといわれております。
・縄張りを確認し、表玄関口である「大手口」から入城
・逆時計回りで進み、まずは「東出丸跡」方面へ
・「東出丸跡」から、徳川家康や本多忠勝の陣所もあった東側を眺める
・続いて「三の丸跡」を見学、北西へ進み本丸跡方面へ行きましょう
・三の丸跡の先には広大な「本丸跡」、個性的な城跡碑があります
・本丸跡北西端にある「天守台」には、かつて五層の天守があったとか
・「天守台」からの眺めは抜群、コンディションが良ければ対馬も見られるそうです
・天守台を降り、本丸西側にあった「本丸多門櫓跡」方面へ
本丸多門櫓跡の先には、「本丸南西隅櫓跡」もあります
そもそも、豊臣秀吉はなぜ「文禄・慶長の役」を起こしたのでしょうか?
・鶴丸を失ったことによる憂さ晴らし説
・日本だけでは飽き足らず、征服欲が抑えきれなかった説
他にも、日本国内のゴタゴタをごまかすため、褒美を与えるため新たな領土を欲した、
織田信長の構想を受け継いだ、などその動機には諸説あります。
さらに、前田綱紀が残した『豊太閤三国処置太早計』などによれば、
1593年に出陣する豊臣秀次に出した覚書の中に、
・明国を征服し豊臣秀次を「唐の関白」に任ずる
・北京に遷都し、後陽成天皇に北京周辺の10カ国を進呈、公家衆にも知行を与える
・日本の天皇には良仁親王か智仁親王のいずれかに即位してもらう
・羽柴秀俊も出征させ、朝鮮に配置するか名護屋の留守居役とする
・日本の関白には、羽柴秀保か宇喜多秀家のどちらかを任ずる
・朝鮮を羽柴秀勝か宇喜多秀家に任せるなら、小早川秀秋は九州に置く
などという壮大な計画が書かれていたともいわれております。
豊臣秀吉の思惑はさておき、この戦は豊臣政権を支えていた文治派・石田三成と
武断派・加藤清正らとの間に亀裂を入れ、後々まで禍根を残すことに。
さらに、多くの出征した諸大名が疲弊しましたが、渡航しなかった徳川家康は損耗せず。
「文禄・慶長の役」は、徳川家康にとって追い風となる出来事だったと言えるでしょう。
・本丸南西隅櫓跡から東へ進むとあるのが、「本丸新石垣櫓台」
本丸を拡張した際、新たにつくられた櫓があった場所です
・本丸新石垣櫓台の北側には「本丸旧石垣」も
こちらは、埋められていた築城当時の貴重な石垣です
・北側へ進んで本丸跡を降り、「水の手跡」方面へ進みましょう
・水の手曲輪跡から「本丸跡北側石垣」を見上げ、お次は遊撃丸跡方面へ
・こちらは、「遊撃丸跡」から本丸方面を見上げる図
・本丸多門櫓跡下の「破却された石垣」は、城の歴史を物語る貴重なもの
城内には多くの櫓・石垣破却の跡があり、名護屋城の見どころといえるでしょう
・少し西側へ戻り、遊撃丸跡の隣にある「二の丸跡」へ
石垣を上り下りする階段状の「合坂(あいさか)」も必見
・二の丸跡を南下し、「弾正丸跡」から三の丸跡方面の破却された石垣を見た後
三の丸跡から大手口へ戻ってゆきましょう
豊臣秀吉による小田原攻めと江戸城築城が描かれていた前回。
関東移封に際して徳川家康と家臣団がやりあうと思いきや、
本多正信と大久保忠世が事前に良い仕事をしておりましたね。
豊臣秀長亡き後、暴走ともいえる「唐入り」を決めた豊臣秀吉。
はたして、天下を託し夢をあきらめた形になった徳川家康の胸中やいかに。
その他、蜜月関係が続く徳川家康と石田三成の関係がいつから変化するのか、
ムロ氏が演じる晩年に差し掛かった豊臣秀吉の姿なども楽しみです。
名護屋城東側の入口にある「山里口石垣」
名護屋城
場所:佐賀県唐津市鎮西町名護屋1931−3
新井 良典
愛知県出身、三重県在住の社会保険労務士。一番好きな武将は大谷吉継公。現代にも活かせる人財づくりを戦国武将から学ぶ「いい武将研究会」を主催し、城や戦国武将に関する執筆や講演活動も行っている。
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