武将愛 SAMURAI HEART

どこにいた家康 Vol.28 躑躅ヶ崎館

2023.07.22

この連載は、2023年の大河ドラマ『どうする家康』で舞台となった地を
後追い、あるいは先読みしながらご紹介していくものである。
なお、タイトルにちなんで、記載は年齢問わず「家康」で統一する。

武田氏三代の居城だった「躑躅ヶ崎館」

今回の史跡は、武田氏の本拠地であった「躑躅ヶ崎館(つつじがさきやかた)」。
現在は武田神社が鎮座しており、「武田氏館跡」として国史跡となっております。

1519年に武田信虎が石和の川田館から移動してきたといわれており、
翌年には、緊急時に籠る「詰城(つめじろ)」として背後の山に要害山城を築城。
以後信虎・信玄・勝頼の武田氏三代の居所として存在しておりましたが、
1582年の武田氏滅亡、その後1590年の甲府城築城にあたり役目を終えました。

「人は城、人は石垣、人は堀」という有名なこの言葉の印象から
武田信玄は城を築くより人の扱い方が大事として堅固な城を築かなかった
…というお話もありますが、現地に行き躑躅ヶ崎館を見て周れば、
単なる「館」ではなく「城」だ!と思わされることでしょう。

足跡を巡る 武田信玄の巻:前編
武田信玄の誕生から元服家督を相続まではこちらから

足跡を巡る 武田信玄の巻:後編
「川中島の戦い」から最期まではこちらから

 

「躑躅ヶ崎館」の見学ルート①

・甲府駅から北上してゆくとまず見えてくる南側の入口「神橋」
神橋の先に見える後世に積まれた石垣と、堀の雰囲気も素晴らしい

・鳥居をくぐって参道を直進、正面には「武田神社」の拝殿が見えてきます

・拝殿の近くにある大盃は、昭和44年4月4日に奉納されたそうな

・「中曲輪跡」土塁と、中曲輪跡から西曲輪跡へ至る道です

・中曲輪跡と西曲輪跡を隔てる見事な「空堀」と、その付近にあった案内板

・西に進み西曲輪跡へ進入、「南虎口」周辺をチェック

 

武田勝頼は「躑躅ヶ崎館」を出て新たな居城を築こうとした

武田信玄が1573年に病没、その跡を継いだ武田勝頼は積極的な外征を繰り返します。
しかし、1575年の長篠・設楽原の戦いで織田・徳川連合軍に敗れると勢いに陰りが見え、
上杉氏の家督争いである「御館の乱」での立ち回りから北条氏とも敵対関係に。

このような状況の中、躑躅ヶ崎館へ攻め込まれた場合に守り切れないと考えた武田勝頼は、
1581年頃に躑躅ヶ崎館から北西約15kmの位置にある新府で築城を開始します。

しかし、救援を出さずに高天神城を落とされたことや、新たな城をつくる費用を賄うため
多くの年貢を課していたことから、すでに武田勝頼の声望はなく離反者が相次ぐ事態に。

さらに、築城に際し多くの木材を要求され不満を抱いた木曾義昌や穴山信君などが離反。
これらを機に織田信長が甲州征伐を開始すると、武田勝頼は築城途中の新府城に火を放って
脱出しますが、天目山で織田軍に追いつかれ自害する結果となってしまいます。

 

「躑躅ヶ崎館」の見学ルート②

・南虎口を戻り、南北に伸びる「西曲輪跡」を北方面へ
ここは、武田信玄の嫡男・武田義信と今川義元の娘が結婚する際に造られた居館だったとか

・西曲輪跡「北側桝形虎口」へ、さらに先にある「土橋」の見学もお忘れなく

・西曲輪跡から武田神社の方へ戻り、さらに東にある「大手門跡」へ

・振り向いて「大手門跡」を外側から、橋の両側には空堀が広がっております

・大手門跡の東側にある、豊臣時代のものを復元したという「大手石塁」
ここから、武田氏の時代だと思われる三日月堀の痕跡も見つかっているようです

・大手石塁の他にも、「土塁」や「惣堀」が復元整備されております

・躑躅ヶ崎館周辺には武田家臣たちの屋敷跡が多数ありますので、
歴史ロマンを求める方はぜひ巡ってみてください(写真は「穴山信君屋敷跡」)

 

次回どうなる、『どうする家康』

戦国時代の主役といえる織田信長が退場する本能寺の変。
色々な伏線を張り巡らせながら、「その時」がいよいよ訪れます。

織田信長を亡きものとするため、徳川家康が明智光秀を貶めるシーンでは
慌てた明智光秀の失言を引き出して見事遠ざけることに成功。
後に「タヌキ親父」と評される徳川家康の片鱗が垣間見えました。

早めに「中国大返し」の準備をしていた羽柴秀吉の挙動にも注目ですが、
なによりも岡田准一さんによる織田信長の最期に注視したいと思います。


甲斐大和駅北口に立つ武田勝頼像

今回の史跡「躑躅ヶ崎館」

躑躅ヶ崎館
場所:山梨県甲府市古府中町2611

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新井 良典

愛知県出身、三重県在住の社会保険労務士。一番好きな武将は大谷吉継公。現代にも活かせる人財づくりを戦国武将から学ぶ「いい武将研究会」を主催し、城や戦国武将に関する執筆や講演活動も行っている。

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