徳川家康の側室「お万の方」とゆかりのある「蓮永寺」
2024.04.01
2023.09.16
この連載は、2023年の大河ドラマ『どうする家康』で舞台となった地を
後追い、あるいは先読みしながらご紹介していくものである。
なお、タイトルにちなんで、記載は年齢問わず「家康」で統一する。
今回の史跡は、北条氏の本拠地・小田原城の支城である「山中城」です。
北条氏康が永禄年間(1558年~1570年)に築いた城で、
北条氏政・氏直の時代に豊臣秀吉との関係悪化から城を改修。
攻め込まれることを警戒し、1589年頃から岱崎出丸(だいさきでまる)や堀など
城内の整備・大改築などを行いますが、結局この改修は戦に間に合わず。
1590年に未完成のまま豊臣秀吉の軍を迎え撃つことになってしまい、
圧倒的な戦力差で攻め寄せる豊臣方の前に落城、その後廃城となりました。
山中城最大の特徴は、北条流築城術の象徴ともいえる「障子掘(しょうじぼり)」。
「障子掘」は堀に「障子」といわれる仕切りを組み入れたもので、主な目的は移動の制限。
障子部を渡らせることで狙い撃ちしやすくなり、障子から落ちてしまったら最後、
深い堀は滑りやすい関東ローム層の土でできており這い上がれず…
堀底でもがいていると上から狙い撃ちされる、という恐ろしい仕組みだったようです。
・まずは駐車場あたりの案内図をチェック
訪れたのが冬の6時半頃だったこともあり、まだ明るくなる前の訪城となりました
・「三の丸堀」を左手に見ながら、順路を前進してゆきます
・前方に見える「田尻の池」の先を左に曲がり、まずは西の丸方面へ行きましょう
・階段を登ると西の丸、その手前左手には「畝堀(うねぼり)」があります
・さらに階段を登り、「西の丸」へ到着
雨水をためられるように、意図的に東へ傾斜してつくられているとか
・西側にある物見台からは、すばらしき「障子掘」が見渡せます
・西の丸からさらに西にある「西櫓」へ、こちら側からも障子掘を堪能
豊臣秀吉との対決に備えて山中城を増改築し待ち受けた北条方でしたが、
わずか4千ほどの兵で約7万ともいわれる豊臣軍を迎え撃つことに。
この豊臣軍で最も官位が高く、最も兵を動員したのは徳川家康でしたが、
大将を務めたのは豊臣秀吉の後継者と目されていた豊臣秀次。
小牧・長久手の戦いで徳川軍に壊滅させられるという失態を演じた甥のため、
豊臣秀吉が汚名返上の機会を与えたといったところでしょうか。
山中城攻防戦は、未完成の岱崎出丸に豊臣方が猛攻を仕掛けて開始。
岱崎出丸と大手方面は北条方の猛反撃にあい、豊臣方も大損害を被りますが、
この間に徳川家康は西の丸を攻略、正午前には山中城を陥落させました。
「鉄壁の守り」と自信を持っていた山中城が1日持たず陥落、
さらに小田原城西側の支城を次々と落とされた北条方は出鼻をくじかれた形に。
勢いに乗る豊臣方は、他の支城を落としながら小田原へ接近。
この後、20万を超えるといわれる兵を動員して小田原城を包囲してゆきます。
<小田原城をご紹介した記事はこちら>
・西端の帯曲輪にある「城跡碑」をチェックし道なりに東へ
・北側から見る「障子掘」、現在は保護のため芝生がきれいに張られておりますが
往時は泥がむきだしで歩きづらく、堀ももっと深かったそうです
・西の丸を一周し「元西櫓」へ、来た方向を振り返り西の丸方面も撮影
・元西櫓を東へ進み、二の丸から「本丸」へ、橋の下には「本丸堀」もあります
・こちらは、本丸の北側にある「北の丸」を囲む空堀
様々な堀を見られ「土の城」が満喫できる、というのが山中城の素晴らしいところですね
・入口付近まで戻り、今度は南側にある「岱崎出丸」方面へ
右奥へ続く道は、石畳が美しい箱根旧街道です
・岱崎出丸の西端にあり、その名の通り中央がくぼむ形となっている「すり鉢曲輪」
・すり鉢曲輪の下には「一の堀」という畝堀もありますので、こちらもお忘れなく
石川数正の出奔を経て、ついに大坂城行きを決めた徳川家康。
謎だった石川数正の思惑を知り、家臣団の面々が涙ながらに
「数正のあほたあけ!」と叫ぶシーンや清々しい石川数正の笑顔など
印象的で素晴らしいシーンが満載でした。
一週お休みを挟んでの徳川家康と豊臣秀吉の対面回、
豊臣秀吉は天下を託すにふさわしいのか?という自らの問いに
はたして徳川家康はどのような答えを出すのでしょうか。
初登場の石田三成とともに注目したいと思います。
小田原城の支城のひとつ「河村城」
「河村城」をご紹介した記事はこちら
(リンク先の中盤にてご覧いただけます)
山中城
場所:静岡県三島市山中新田410−4
新井 良典
愛知県出身、三重県在住の社会保険労務士。一番好きな武将は大谷吉継公。現代にも活かせる人財づくりを戦国武将から学ぶ「いい武将研究会」を主催し、城や戦国武将に関する執筆や講演活動も行っている。
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