武将愛 SAMURAI HEART

どこにいた家康 Vol.22 諏訪原城

2023.06.10

この連載は、2023年の大河ドラマ『どうする家康』で舞台となった地を
後追い、あるいは先読みしながらご紹介していくものである。
なお、タイトルにちなんで、記載は年齢問わず「家康」で統一する。

武田勝頼と徳川家康が拠点とした「諏訪原城」

今回の史跡は、武田勝頼が遠江攻めの橋頭保とするため築かせた「諏訪原城」です。
高天神城を巡る戦いにおいて、武田勝頼も徳川家康もこの城を重要な拠点としていました。

高天神城奪還など徳川家康ゆかりの地を巡った記事はこちら

かつては、馬場信房が築いた「武田流築城術」の典型的な城…と言われていましたが、
近年、遺構の多くは徳川家康が奪取後に改修したものだとされています。

最大の見どころは、二の曲輪にある「丸馬出」とその前面にある「三日月堀」。
特に遺構が良くわかる「二の曲輪中馬出」は、土の芸術品と言っても過言ではないでしょう。

駐車場のそばにある「諏訪原城ビジターセンター」には丸馬出の模型などがあるため、
事前にこちらを見学してから城巡りをするのがおススメ。

 

「諏訪原城」の見学ルート①

・まずは駐車場から北西方面に向かい「大手南外堀」から城攻め開始

・順路通りなら北へ向かうのですが、大手南外堀の先に見える
この「二の曲輪大手馬出」を後回しにできようか…いや、できない

・大手南外堀に戻り北上、「大手曲輪」方面へ

・大手曲輪と「惣曲輪」を隔てる「大手北外堀」、その先にある「惣曲輪」はかなりの広さ

・惣曲輪から二の曲輪への侵入を妨げる「二の曲輪中馬出」と三日月堀
美しい曲線を描くダイナミックな遺構がはっきりとわかりますね

・大手馬出のさらに北にある「二の曲輪北馬出」
写真は2018年当時の物ですが、現在は復元薬医門が建っているようです

 

徳川家康が攻め取った後「諏訪原城」は「牧野城」に

1575年の「長篠・設楽原の戦い」後、反撃に出た徳川家康は諏訪原城を攻略します。
「諏訪原城」の名が、武田氏の守護神である諏訪大明神を城内に祀ったことに由来する
ということを嫌ってか、徳川家康はこの後に城の名称を変更することに。

「牧野城(牧野原城)」とした由来について、
・手に入れた後に守らせた牧野康成の「牧野(まきの)」という名字
・武王が紂王を「牧野(ぼくや)」という地で破った、という故事
→徳川家康が、自身を周の武王(討伐者)、武田勝頼を殷の紂王(暴君)になぞらえた
この二つを組み合わせ、「牧野=縁起が良い」として改名した、というお話があるそうです。

ちなみにこの城、後にあの今川氏真が城主を務めましたが、1年足らずで解任されたとか。
今川氏真はこの後浜松城に滞在し、京都では文化人として過ごしたようです。

徳川家康も居城としていた浜松城の記事はこちら

 

「諏訪原城」の見学ルート②

・二の曲輪北馬出あたりから、二の曲輪との間にある空堀を見る
写真2枚目は、二の曲輪入口あたりの逆方向から

・東の本曲輪に行く前に、南北に伸びる「二の曲輪」を南方向へ

・「二の曲輪大手馬出」を内側から、写真右上の建築物が諏訪神社です

・こちらは、二の曲輪大手馬出のさらに南にある「二の曲輪南馬出」

・二の曲輪を北方面に戻り、ここから「本曲輪」へ

・本曲輪から「内堀」へ降りてゆき、「内堀」と「カンカン井戸」をチェック

・内堀を南方向へ進み、水の手曲輪から二の曲輪へ戻りました

 

次回どうなる、『どうする家康』

長篠城から舞台を移し、いよいよ「設楽原の戦い」に突入します。
野戦築城で柵を広範囲に配し、鉄砲と組み合わせるという戦法をとる織田信長と、
最強といわれた軍隊を率いる、映像作品で過去最強とも思える自信満々な武田勝頼の争い。
結末はわかっているといえど、その過程をどう描くのか興味深いですね。

そして、織田信長へ臣従するかどうかで揺れる徳川家康はこの戦をどう見るのか…
同じく戦場に赴いた松平信康、武田方の千代と駆け引きをする瀬名の言動の他、
鳶ヶ巣砦に奇襲をかける酒井忠次の「えびすくい」が久々に見られるのかにも注目です。


設楽原古戦場の復元馬防柵

今回の史跡「諏訪原城」

諏訪原城
場所:静岡県島田市菊川1174

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新井 良典

愛知県出身、三重県在住の社会保険労務士。一番好きな武将は大谷吉継公。現代にも活かせる人財づくりを戦国武将から学ぶ「いい武将研究会」を主催し、城や戦国武将に関する執筆や講演活動も行っている。

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