武将愛 SAMURAI HEART

どこにいた家康 Vol.23 小山城

2023.06.17

この連載は、2023年の大河ドラマ『どうする家康』で舞台となった地を
後追い、あるいは先読みしながらご紹介していくものである。
なお、タイトルにちなんで、記載は年齢問わず「家康」で統一する。

三重堀と模擬天守が見られる「小山城」

今回の史跡は、諏訪原城と同じく徳川氏と武田氏が奪い合った「小山城」。
1571年頃に武田信玄の家臣・馬場信房が縄張りを行い築城したといわれております。

「武田流築城術」の特徴といわれる丸馬出と三日月堀もありますが、
最大の見どころは、丸馬出の西側に配された珍しい三重堀。
季節によっては草木が生い茂っているものの、良く残る遺構が楽しめます。

馬場信房が築いた武田流築城術の城「諏訪原城」をご紹介した記事はこちら

現在は能満寺山公園として整備されており、1987年には模擬天守が完成。
徳川家康と武田信玄・勝頼父子が争った時代に天守はありませんでしたが、
犬山城をモデルに、正式名称を「展望台小山城」として建てられたとか。
丸馬出や三日月堀の形がよくわかるため、天守最上階から見渡すのがおススメです。

 

「小山城」の見学ルート①

・まずは駐車場から、北西方面の「天守」を見上げる
案内図もあるので、先にチェックしておきましょう

・公園の名前にもなっている「能満寺」、徳川家康ゆかりのソテツがあります

・能満寺を見学してから横を通り、展望台方面へ
直進は階段を堪能するルート、右は膝をいたわる少し緩やかなルート

・階段を登った先にある「虚空蔵尊」、先ほどの分岐はここで合流します

・いよいよ山上へ到着、まずは本丸と二の丸を隔てる空堀がお出迎え
遠目に見える赤い橋の下には、土橋も復元されているようです

・こちらは右手に広がる「本丸」、桜の時期はこんな感じ

 

「小山城」に残る、悲しき赤い唇のヒル伝説

小山城を築城し、諏訪原城も手に入れた武田勝頼は、1574年に高天神城も攻略。
しかし、翌年行われた長篠・設楽原の戦いでは織田・徳川連合軍に敗れ大損害を被ることに。

この後、徳川家康は諏訪原城を攻撃させ奪取、城を追われた武田の兵たちは小山城へ。
勢いに乗る徳川軍はさらに東進し小山城にも攻めかかりましたが、
小山城を守っていた岡部元信が良く守り、こちらはなんとか落城を免れました。

その後も徳川軍の猛攻に耐えましたが、1581年ついに高天神城が落城します。
武田家の行く末を憂いた小山城の城兵たちは、城に火を放ち甲府への帰還を目指して脱出。
その際、帰還の足手まといになるだろうと思った女性たちは自ら堀や井戸に身を投げ、
赤い唇の蛭(ヒル)へ姿をかえ住むようになった、という悲しい伝説があるそうです。

 

「小山城」の見学ルート②

・北へ移動し赤い橋の方へ、橋の先には復元された「丸馬出」が

・橋の上から見る「天守」、小山城写真スポットのひとつですね

・橋を渡って、素晴らしい「丸馬出」と「三日月堀」を堪能

・西へ移動し、いよいよ最大の見どころである「三重堀」へ

・南方向へ移動し、「三重堀」が一番美しく見られる角度を模索

・北側へ移動し、こちらからも「三重堀」をチェック
こちら側には、山本勘助との関りがあるという「勘助井戸」もあります

・最後に「天守」へ、最上階から丸馬出と三日月堀をチェックしましょう!

 

次回どうなる、『どうする家康』

父・信玄超えを胸に期し、不利と理解しながら設楽原へ向かう武田勝頼と、
野戦築城で柵をつくり、準備万端で武田軍を待ち受けた織田信長。
時間差で準備できた者から次々と銃撃、無慈悲に倒れていく武田軍を見て
不穏な姿を見せ始めた松平信康が印象的な「設楽原の戦い」でした。

徳川家康と松平信康の中に亀裂が入り、家臣団にも不和が見え始めた中、
この時代における「女性の戦い方」を模索する瀬名の動向も気になるところ。
次回のタイトルは「瀬名、覚醒」、どのような答えを導き出したのかに注目です。


水野信元が最期をむかえた大樹寺

今回の史跡「小山城」

小山城
場所:静岡県榛原郡吉田町片岡2519

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新井 良典

愛知県出身、三重県在住の社会保険労務士。一番好きな武将は大谷吉継公。現代にも活かせる人財づくりを戦国武将から学ぶ「いい武将研究会」を主催し、城や戦国武将に関する執筆や講演活動も行っている。

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