この寺の本尊は「峰の薬師」(みねのやくし)と呼ばれ、古くから子授けの霊験あらたかな仏様とされてきた。そのご利益を求め、岡崎城主・松平広忠(まつだいらひろただ)と正室・於大(おだい)が子授け祈願し、その後家康を授かったといわれる。本尊の薬師如来(やくしにょらい)をお守りする十二神将は干支の守り神。家康の誕生後、寅の守り神が寺から消え去り、家康が亡くなると元の位置に戻ってきたという伝承が残されている(家康は寅年、寅の日、寅の刻生まれ)。また、後年徳川四天王と呼ばれる井伊直政(いいなおまさ)が幼少期にこの寺に匿われ、保護されたことでも知られる。
寺のある鳳来寺山は、古来より山岳信仰の聖地。山麓から本堂に至る表参道の石段は1425段といわれ、源頼朝(みなもとのよりとも)の寄進と伝わる。参道途中には三代将軍徳川家光(とくがわいえみつ)の命によって建立された仁王門があり、本堂から東へ約200m先に家光の発願によって建立された鳳来寺山東照宮がある。なお、本堂では家康の逸話をもとにした寅童子という郷土玩具が人気。
住所:新城市門谷字鳳来寺1
アクセス:JR飯田線「本長篠」駅から豊鉄バス「鳳来寺」バス停下車、徒歩約15分
駐車場:近隣にコインパーキングあり